700枚に及ぶ父の残したスライド写真をデジタル化しました。長い年月に渡り「映写機」を回すこともせず、そのまま放置していました。
寡黙な父はいつも多くを語らず押し黙ってしまう、亡き母に言わせれば、「昔の軍人さんみたいな人」でした。
その父が遺したフィルムに息を飲みました。そこに映っているボクたち家族の写真の数々。幼少の頃の思い出はそこはかとなく、今となっては断片的にしか思い出せません。
でもその残された映像たちには、数多くの観光地、思い出の日常の光景が記されていました。自分が映っているけれど、あまり覚えていない光景の写真もいくつもあります。大きくなってから、一度幼少の頃に足を運んでいるとは知らずに訪れている観光地もあったりしました。
たしかに思い出に残る記憶の断片とその数々の写真が少しずつつながり、幸せな家庭を振り返るひとときとなりました。
また母の言葉を借りますが、「単なる道楽」でしかなかった父の写真やスキーはすべてボクの血となり肉となり、遺伝子に残されているのだと思います。さまざまな観光名所に連れて行ってくれたり、体験させてもらったことはきっといまの自分の感性や意志を育んでくれていたと思います。
父が他界したのは、かれこれ13年前になります。2年前には母も父の元へと旅立ちました。二人とも遺書らしきものは何も残しませんでした。多弁な母は生前ことあるごとに自身の思いの丈をしゃべり続けることがありました。
でもその「口承」もほとんど無かった父が遺してくれた写真たちに記されたメッセージ。父の視点。家族への思い。そしてその写真や運動、自然、観光、美しいものに向かう父の人生そのものが、すべてボクの身体に息づいていることを静かに受け止めてみております。
PS.
幼少の頃の写真を3点ほど公開しました。じつはカビの付着していた写真もありましたが、CS5 PhotoSHop スポット修復ブラシツールのおかげできれいに回復です。