WordPress でお客様との Win-Win を築く試み

12月25日まで毎日ブログをつないでいく WordPress Advent Calendar、8日目担当渡邉義一 ( @Ghichi ) です。WordPress の元気印、マクラケン直子(@naokomc)さんに引き継いでいただきました。

直子さんの記事「WORDPRESS のカスタムフィールド・投稿タイプ・タクソノミーを使い分けよう!」は勉強会のテキストにぜひ使ってみたいと思いました。ご一読をお勧めします。

WordPress はふわっとした感じ。人気キャラ、わぷーからそのイメージがきちんと伝わってくるのがうれしいです。

ワプー:Wapuu:WordPress

今朝、私は机の上に何も置いていない状態から業務を開始しました。言わば「禅モード」!

禅モード、机の上に何も置いていません。

WordPress 3.2のバージョンから「禅モード」が採用されました。「禅モード」とはフルスクリーンモードのこと。命名がナイスですね。執筆に集中することができる画面入力設定です。

禅モード:フルスクリーンモード

やる〜っ! WordPress。。

初めてその新しい機能の追加を聴いたときに、ボクは心の中で拍手をしていました。パチパチ・・・・。

砂時計:時は金なり。

ときは金なり。人生という名の砂時計も少しずつ砂を落としている。そろそろ本日の話題です。

この新しい禅モード機能を来年使っていけるWordPressユーザーはどれくらいいるでしょうか?

現在ご利用されているWordPressは画面にメッセージされる更新リンクを押せば、新しいバージョンに自動更新可能です。

WordPress 3.2.1 が利用可能です ! 更新してください。

でも実際はさまざまなプラグインなどを入れていたり、ソースを改変したりで不具合の生じる可能性も少なくありません。

WordPress 制作の同業とお話しをする機会があると、口を揃えるようにバージョンアップが十分に対応できていない実状をもらされます。それに見合うだけの保守管理費用がもらえていない、と。。

  • だからやらない。
  • だからもっとたくさんお代をもらえるようにする。

そのどちらにも傾きたくない、傾けない狭間で、WordPress の飛躍的な進化とは対照的に影を落としているのも一面の事実かも知れません。

機能の追加だけならまだしも、プログラミングのぜい弱に対応したバージョンというときに、私たちクリエイターはさらに追い込まれていきます。

WordPress の歩みを確かなものにしていくために、どうしても皆さまと考えていきたい課題です。

プロジェクトの顧客が大手企業だったり、公官庁であれば、間違いなくその予算は取られていくでしょう。

評価の高いプラグインを使ったり、フォーラムなど情報をよくチェックして、リスクや不具合を事前に減らすことはもちろん行なっても本質は変わりありません。だからと言って、「WordPress は売り切り。手離れよくしたほうがいい」などと豪語する気はありません。

次の3つの視点から対応策を検討してみました。

  1. ゴールを設定する
  2. 役割を明確にする
  3. 労務の原価を知る

それぞれは別個のものではありません。密接につながっています。以下、企業・個人事業に向けた WordPress によるホームページ制作及び運用サポートにおいて、お客様との持続的なビジネスの創出について考察を重ねてみました。もしよろしければお付き合い下さい。

1.ゴールを設定する

ふだん商談の機会がある方はご存知のように、経営者はかけたコストにどう見返りがもてるのか、費用対効果の話に敏感です。

かけたコストに対する回収ができるのか、そのメリットをきちんとご実感頂けるのかどうか、最初の打ち合わせの話し合いが後の業務の継続に大きく影響します。

ゴールの内容は具体的で少し長期的です。1年後に何を実現したいか?そのために何をしていくか。詰まるところ受注額ですが、何人の顧客を増やしたいのか、単価をいくらに設定するのか、サポートの続く限り何度も触れていきます。そしてもしそれが実現できれば、この予算でも!というシナリオをいつも描きます。いつもそううまくいきませんが。。

Web の制作と運営を任せて頂く方向が決まってからもすぐに契約を行なうことはあまりありません。営業マンとしては失格かも知れませんが、話し合いを重ねます。理由は、WordPress の導入が時としてお客様の意識の変革を迫るほどの大きな分岐点につながることもあるからです。そしてお互いの十分な信頼関係を育むことなしには、持続的なサイト運営は臨めないと思っているからです。

制作に入る前にきちんとお伝えしなければならないことは、サイトの「納品」はいつも動き続けているプログラムの検証であるということ。いつも手を加え続けていくことで成果を生むことに近づく「通過点」であることを伝えないといけません。

立ち上げたサイトがこれからの新しいワークスタイルを築いていくプラットフォームとなること、その新たに始まる更新の日々が楽しく魅力に満ちたものであることを伝える。そうした空気を作っていくことも、私たち WordPress 運用サポートを行なっていく者にとっての使命のように思います。

2.役割を明確にする

WordPress はその構造を柔軟に変えていけることが魅力あるCMSである理由の一つになっています(ね)。

私は最初の設計であまり完成度の高い作り込みを行ないません。「あれもこれも」ではなく、「あれとこれは」入れておこうという話の進め方をしながら、お客様にムリのないホームページのカタチを考えていきます。

お客様にムリがないというのは、お客様がサイトを一枚の絵のように、整理されたイメージをもてるかどうかです。セルフメインテナンスをしやすいコミュニケーションと技術、そしてホームページのカタチを作り上げていくことが肝要です。

予算的な制約で制作を限定することも少なくありませんが、逆に予算が取れて、初めからお客様の認識を超えた総花的なサイトの納品を仮に行なえても、お客様が息切れしてしまうことは少なくありません。

お客様の持続的な成果を生み出すためのファーストステップとして、そのサポートは力量の見せどころです。ビジネスサイトのゴールの設定次第ですが、初めはブログの運用だけから始めたって構わないはずです。

絞ったコンテンツでひとまずの立ち上げを行ない、少しずつ必要なコンテンツに気づきながら、サポートが必要なときはサポートに入り、お客様が自力でできそうであれば、時間をかけて待ちます。

初めの契約の時点で業務の方向性と役割は明確にしますが、実際に制作業務を進めていく中で、やはり行なってみないと分からないイレギュラーな状況は発生します。それを埋め合わせられるコミュニケーションが取れるかどうかも試されところです。

WordPress における制作は、初めは請け負い契約を行ない、途中からは委任のウエイトがふえていくように思います。

請負とは「納品」をすることで報酬を頂く契約。委任とは「ノウハウ」を提供することでそのサービスの対価を受け取ることになります。

WordPress はその柔軟な構造ゆえ、お客様との役割分担を推進しやすいメリットをもっています。先日の11月26日に行われた WordBench Tokyo においては、固定ページとブログページでお客様との役割を分担し、ブログコンテンツから新たに固定ページを作り上げていく事例をご紹介させて頂きました。

WordBench東京 ライトニングトーク(YouTube にリンク) (撮影:@khoshino さん )

必ずしもいつでも明確にお客様との業務が分けられるわけではありません。話し合いを重ねて辿り着いた「1年後のゴール」に向かって、コラボレーションを行なっていきます。

先日あるお客様先で撮影に入りました。この制作プロジェクトでクライアントのスタッフの一人が撮影に興味をもち、固定ページに使う素材のための撮影も任せたりするのですが、私からダメ出しをすることもしばしば。(以前の仕事スタイルでは考えられないことです。)

クライアントさんにて素材のための撮影:知らない間に撮ってもらっていました。

この撮影は、この角度がいいと素材のための撮影を行っていたところです。ボクの知らない間に、お客様に写して頂いておりました。チャームポイントの赤い靴下も一緒に。^^

抑えるべきポイントを抑えて、定めたゴールに向かって、これからもお客様とのチームワークを育てる営みを大切にしていきたいと思います。

3.労務の原価を知る

ここまでお読み頂きました皆さまに感謝します。ところで、ご自身の日々の労務の原価計算は行なっていますか?

保守契約に限ったことではありませんが、仮にご自身の労務に対する十分な対価が得られていなかったとします。でもそれとは別に自分で自分の労務コストに評価を行う。この日々の地道な作業はぜひお勧めします。

たとえば、1ポイント=2500円とします。

与えられた業務、または行なったタスクに何ポイントかをつけていきます。これは見積りコストの計算でも行ないますし、コンサルタントの方の日常業務(のはず)です。けれど、雇われている否かに限らず、全てのクリエイターの皆さまに実践してほしい自分マネージメントの出発点のように思っています。

ひとまずフリーランスであることを前提として話を進めます。仮に、1ヶ月50万円を20日間で稼ぎたいとします。一日換算すれば、25,000円で、一日に10ポイントのタスクをこなさなければならないことになります。

10ポイントで1ユニットとし、

12ユニットで1ブロックと換算すると、

1ブロック=12ユニット=120ポイント=30万円となります。

労務コストに換算

Webプロジェクトにおいて、30万円は一つの基準となることが少なくありません。それで30万円=1ブロックという単位が活きてきます。この単位設定は5年ほど前より試行を重ねてみています。大局的にコストを把握しやすい一つのお勧めの換算方法かも知れません。

少し話がそれてしまいましたが、実際の対価とは別に自分の原価を計算する日報を重ねることで、どれだけの金銭差があるのかを具体的に認識することになります。本来自分が本当はいくらもらえば割が合うのかを長期的に把握していくとさまざまな気づきが得られます。

自分の原価を具体的に知ることで、次の提案に活かしていけたり、次にそれに近づいていく努力、それに近づけられる評価を受けるよう努力をすればいいです。

この自分で評価をつけていく作業は、モチベーションをいつも高く持ち続けられる秘訣のようにも思います。まだ行なったご経験のない方はぜひ、カウントする業務を限定して始めてみてもいいと思います。

自分の評価と、実際にもらえる対価は見合いです。サポートするお客様のビジネスに成果が現れてくれば、いくらでもプラスに転換する可能性のある指標のはずです。いろいろな投資活動がこの世に存在しますが、自分投資はもっともリスクの少ない確かな回収のできる投資のように思います。

まとめ

お客様のゴールを具体的に設定することで、そのために必要な労務と予算をご提示し、必ずしも十分なご理解がすぐに得られなくても、日々の業務の中で少しずつでも成果に近づいていくプロセスで信頼を勝ちとりながら、自分の労務の原価もきちんと把握していきたいと思います。

お客様との役割を明確にしながら、そのビジネスの成果が目に見えて現れ始めたときに、適切な保守管理サポートのご提案も通していきやすくなることと思います。先ずはお客様の喜んで頂ける姿ありきです。これからも WordPress は新しいコミュニケーションを展開するツールとして、その真価を発揮していけるよう楽しくお付き合いを続けたいと思います。感謝。

次は、@technologjpさんです。